Lluvia (Agua Que Cae Del Cielo)

Disc/Music Guide

Lluviaという曲名で有名なこの曲。残念ながら2021年9月にコロナ感染が元でお亡くなりになってしまったAdalberto Álvarez作の名曲「Agua Que Cae Del Cielo」(Son 14の3枚目「Adalberto Álvarez presenta:”Son 14″(Areito LD-4073 1982)」1曲目)である。Adalberto Álvarez作品の中でも、多分一番有名で売れた曲なのではないだろうか。
本稿では多くカバーもされているこの曲の系譜を整理してみる。

なお、この曲の諸々について解説している動画も存在している。これを見ると、この曲がどのように生まれどのように広まったのかが概略わかる。

オリジナルアレンジの系譜

Adalberto Álvarez presenta:”Son 14″(Areito LD-4073 1982)」1曲目)Agua Que Cae Del Cielo

まずは、大本のオリジナル版。「Agua Que Cae Del Cielo」(Son 14の3枚目「Adalberto Álvarez presenta:”Son 14″(Areito LD-4073 1982)」1曲目)。
雨音のSEをバックにバタが打ち鳴らされ、Tibrón Moralesと思しき男の声に続いてイントロが入って来る。最初のCoro-Canta部に続き、ブレイクとともにバタドラムとCoro-Cantaだけで構成するパートに突入、ぐっとRumbaになり、キメから、ピアノをはじめとしたリズム隊全体がなだれ込んでやがてTpソロからMoña、そしてCoro-Cantaを経てEnding、最後にまた嵐のSEとバタ。

このオリジナルアレンジをベースとしたものは、あまり見つかっていない。

Omara Portuondo “Canta El Son(Areito – LD-4071, 1983)” con Adalberto Álvarez y su son- Agua Que Cae del Cielo

Omara PortuondoがAdalberto Álvarez y su sonを従えてSonを歌うという趣向のアルバム。
イントロのバタからほぼほぼオリジナル版に忠実だが、最初のCoro Canta後の間奏にRhodes風エレピによるソロがかぶさっていたり、さすがにOmara Portuondoが自由に歌うのに合わせた2ndo Vozは無理であろうハモリはない。伴奏にTresが加わっていたり、Tbが先導するMoñaがあったりと聞きどころは満載。なお、イントロ、エンディングにはいるBataのパターンはオリジナルとは少し異なっている。

Agua que cae del cielo (Lluvia) – Adalberto Álvarez y su Son ft. Gilberto Santa Rosa (Live)

Willie Rosario楽団のCantanteとしてヒットさせ、以来自身の代表曲ともなったGilbelto Santa Rosaが、この曲をAdalberto Álvarez y su Sonのコンサートにゲスト参加して歌ったもの。アレンジはオリジナルベース。

Pupy y Los Que Son Son – Lluvia

La Alianza Musical De Cuba(2021,Bis Music – CD1309)というコンピレーションに収められたPupy y Los Que Son Son版。比較的オリジナルアレンジを踏襲している。もちろんPupy y Los Que Son Sonのサウンドになっているが。

Orquesta Del Sol(ft.NORA)- Agua Que Cae Del Cielo

松岡直也氏が講師を務めたNHK教育テレビの「趣味講座 ベストサウンド」にOrquesta Del Solがゲスト出演したときのもの。当時、CantanteはNORAさんだった。基本オリジナル版に忠実だが、番組内の枠に合わせて繰り返し回数を減らすなど尺を変更したものと思われる。

Agua que cae del cielo – Son Durísimos 🎺 José ‘Popeye’ Villarán, Julio Barreto & Walter Andrade

オリジナル版をベースとしているが、バリトンサックスが入っていたり、複数本のTbのハーモニーを活かしていたり、魅力的な演奏である。

Willie Rosario – Lluviaの系譜

この曲をWillie Rosarioの曲と認識されている人も多いに違いない、最も普及したアレンジ。

Willie Rosario – Nuevos Horizontesの1曲目 Lluvia

Nuevos Horizontes(Bronco – B-128 1984)の1曲目。
1980年代中盤、サルサ界ではやったと思われるAdalberto Álvarez作品を取り上げた一つ。
多分このバージョンが一番有名なのではなかろうか。
のっけからWillie Rosario楽団のマンボな演奏で、Gilbelto Santarosaメイン歌唱(Tony Vegaのハモリ)。Willie Rosario楽団典型的サウンド満載で代表曲にもなっていると思われる。

Adalberto Álvarez y su Son “Lluvia” Son para un Sonero: El Concierto

Adalberto Álvarez y su SonのSon para un Sonero: El Conciertoと題して開催されたコンサートから。(開催日情報は見つかっていないが、記録されたCDとDVDは2020年8月28日にリリースされた)
このコンサート、舞台にはAdalberto Álvarezがピアノも弾かずソファーに常駐し、時折のMCと2ndo Vozで絡むという形式。(したがってAdalberto存命中のコンサート)
このコンサートで演奏されたAgua Que Cae Del Cieloのアレンジが聞いてびっくり、Willie Rosario版ベース!、曲タイトルも”Lluvia”。
歌手はRoberto Hernandez “Robertón / Abdel Rosalps “LeLe”

El Clan Del Solar Agua Que Cae Del Cielo (Lluvia)

ColombiaはBogotáの Germán El Trombón y El Clan del Solarが2020年にリリース。
管の編成にTbが加わっている以外、ほぼほぼそのままWillie Rosario版を踏襲。

Louie Ramirez y Ray De La Paz – Lluviaの系譜

こちらの系譜は今のところRay De La Paz歌唱のものと、希少なそのカバー版しか見つかっていない。

Louie Ramirez Y Su Orquesta & Ray De La Paz – ¡ Con Caché !のラストナンバー Lluvia

かつて「Noche Caliente」というユニットを組んでいたらしい(データは未発見)Louie RamirezとRay De La Pazが再びコンビを組んで出した
Louie Ramirez Y Su Orquesta & Ray De La Paz – ¡ Con Caché !(Caiman Records – CLP 9004 1984)のラストナンバー。
雨のSEとともにIsidro Infanteのピアノを前面にしたイントロが始まり、雷鳴が轟くオープニングが特徴的。Endingでも雷鳴が轟いている。
Tp4本のSonora編成ということもあるのだろうけど、都会的なすっきりオシャレ感があるアレンジが特徴的。中盤にはPapo PepinのCongaソロが展開されている。

Descarga Boricua – Lluvia (agua que cae del cielo)

2008年リリースのDVD Descarga Boricuaに収められた1曲。CantanteはRay De La Paz。Louie Ramirez – Ray De La Paz版ベースのアレンジだが、Congaソロの後にMoñaが追加されている。

各種オリジナルアレンジ

Adalberto Álvarez y El Caballero del Son – Agua Que Cae del Cielo

Adalberto Álvarez自身による別アレンジバージョンらしい。スタジオ録音っぽいが、出典不明。

Nic y su Banda N’Taya – Lluvia “Agua Que Cae del Cielo”

マイアミ拠点のNicolas Martinez y su banda N’TayaによるEste Verano Viene Tiza(Released on: 2021-06-18)に収められた一曲。トロンバンガ編成

Michel Maza y Alexander Díaz – Agua Que Cae Del Cielo

Sonero Soy. A Homage To Adalberto Alvarez(2007)に収められた一曲。CantanteはMichel Maza, Alexander Díaz.オリジナルの構成を尊重しつつも新しい展開が加えられている。

Candela Brava – Agua que cae del cielo

トロンバンガ編成のオリジナルアレンジ

Son Con Ron – Lluvia

Tresではなくエレキギターを使ったSepteto編成。オリジナルの構成を基に新しいCoro-Cantaを足すなど独自のテイストを加えている。

Mayra Guzmán – Agua Que Cae del Cielo (Lluvia)

女声歌手Mayra Guzmán の2023年1月リリースシングルAgua Que Cae del Cielo (Lluvia) 。
生のホーンは入っておらず、シンセで演奏されている。前半はオリジナルに比較的忠実だが、途中からオリジナルな展開のアレンジになっていく。

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